術後リハビリテーションの目的
手術前の関節の痛みや変形により、筋力低下、関節可動域の制限、脚長差、歩行障害、日常生活動作障害などの症状が生じます。手術を行うことによって脚はまっすぐになりますが、術前に悪化した身体機能や筋力はすぐには戻りません。また、手術創部の痛みがあるからといって関節を動かさないでいると、関節の動きが制限され、結果として歩行や日常生活動作に支障をきたします。
このような問題が起こらないよう、早期から術後リハビリを開始し、筋力や関節の動きを回復させ、早期に日常生活動作を自立し、社会復帰をすることがリハビリの目標となります。
なぜ術後早期からリハビリテーションを行うのか?
術後早期からリハビリテーションを行うことによって、深部静脈血栓症や不動による二次的な筋力低下や関節の動きの制限を防ぐことができます。また、術後回復を早め、早期の退院を可能にします。
術後早期は、創部の痛み、転倒、起立性低血圧など、十分な医学的管理が必要とされますが、当院では整形外科医、麻酔科医、看護師、理学療法士らが密な連携をとりリハビリを進めています。
術後リハビリテーションの流れ
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1
術前リハビリ
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手術が決定した患者様は、手術までの間に自宅での術前リハビリを行なっていただきます。入院説明の資料内に術前リハビリの資料がございますので、それを参考にご自宅でストレッチや筋力トレーニングを行なっていただき、術後リハビリの準備をしましょう。手術後に良好な回復を得るためには、術前リハビリがとても重要になってきます。
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2
術後(入院)リハビリ
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手術当日より理学療法士によるリハビリが始まります。手術当日は、深部静脈血栓症の予防のため、病室のベッド上で脚のマッサージを行います。
手術翌日からは、身体の状態や手術創部の痛みに応じて身体を動かすリハビリを行います。身体状態が良好な患者様は、手術翌日より歩行器を用いた歩行練習を開始します。また、ベッド上で行える運動やアイシング(患部を冷やすこと)の指導などを行います。
リハビリは1日2回(午前、午後)、身体の回復状況に応じて60分ずつ行います。痛みや回復段階に応じて、筋力トレーニング、杖歩行練習、階段昇降練習、日常生活動作練習などを行い、術後2〜3週で退院を目標にリハビリを進めていきます。
退院時には自宅生活での注意点や、ご自宅での運動、住宅環境のアドバイスを行います。
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3
退院後(外来)リハビリ
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退院後も継続して筋力トレーニング、関節を動かす練習などのリハビリが必要となります。歩行スピード、安定性、持久力の向上、また余暇活動の拡大、仕事やスポーツへの復帰、習い事の再開などを目標とします。
週1~2回、約3ヶ月間、通院でのリハビリを行います。通院でのリハビリ終了後、筋力、関節の動きを良い状態に維持するためには、ご自宅でのリハビリが必要となります。ご自宅でできる運動を指導いたしますので、継続していただきます。
当院への通院が難しい方は、医師より自宅近隣の病院・クリニックを紹介しています。また、希望する患者様にはWebを用いた遠隔でのリハビリテーションを提供していますので、リハビリスタッフに問い合わせください。