脊椎脊髄疾患について

脊椎・脊髄疾患は、背骨やその中を通る神経の病気です。
ここでは、当院で対応している主な疾患について紹介します。

腰椎疾患

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管とは背骨の中にある神経が通る場所です。腰部脊柱管狭窄症は、腰椎の脊柱管が狭くなり、内側にある神経が圧迫されて起こる病気です。
主な症状は、足の痛みやしびれです。また歩くと徐々に足の痛みやしびれが強くなり、休むと症状が軽くなる間欠性跛行が特徴です。

赤矢印:狭窄がある部分

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板とは背骨の骨と骨の間にあるクッションのようなものです。重たいものを持ったりして腰に負担がかかると、椎間板の中身である「髄核」が後ろ側に飛び出し、神経を圧迫し足の痛みを引き起こすのが腰椎椎間板ヘルニアです。 主な症状は、足の痛みやしびれで、片側だけにみられることが多いです。通常、ヘルニアは2~3ヶ月で自然消退することがあります。

赤矢印:椎間板ヘルニアがある部分

腰椎変性すべり症

第4腰椎(L4)が第5腰椎(L5)に対して、前方にずれている。

腰椎変性すべり症は、腰椎が前後にずれてしまう病気です。中年以降の女性に多く、加齢により腰椎が不安定になることで起こります。腰椎がずれることで神経が圧迫されて、腰痛や足の痛みやしびれが起こります。 症状は、初期は腰痛が主になります。進行すると足の痛みやしびれなどがみられます。

腰椎椎間板症

赤矢印:椎間板が変性している部分

椎間板は、背骨の骨と骨の間をつなぐクッションのようなものです。不良姿勢や同じ動作を繰り返すことで、椎間板が傷んだ状態が腰椎椎間板症です。 主な症状は、腰の痛みです。痛み止めやコルセットを着用することで、症状が軽減することが多いです。

頸椎疾患

頸椎症(頸椎症性神経根症・頸椎症性脊髄症)

頸椎の骨や靭帯、椎間板などが変性し、首の神経を圧迫した状態を頸椎症と言います。腕へと続く神経(神経根)が圧迫された状態を「頸椎症性神経根症」、足へと続く神経(脊髄)が圧迫された状態を「頸椎症性脊髄症」と言います。 頸椎症性神経根症は、手のしびれや痛み、筋力低下などが起こります。頸椎症性脊髄症は、手だけでなく足のしびれや痛み、歩行時のふらつきなどが起こります。

頸椎後縦靭帯骨化症

頸椎後縦靭帯骨化症は、頸椎の後方にある後縦靭帯と言われる靭帯が骨のように硬くなり、首の神経を圧迫してしまう病気です。40~50代の男性に多い病気です。 主な症状は、手足のしびれや動かしにくさ、歩行時のふらつきなどが起こります。

赤矢印:靭帯が骨化している部分

脊椎疾患

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折とは、背骨が骨折し変形する病気です。骨が脆くなった高齢者に多いのが特徴です。転倒で受傷される方が多いですが、重い物を持った時やくしゃみをした時など、軽微な刺激でも骨折する場合もあります。強い痛みが特徴で、寝起きが困難となります。骨折した背骨を放置すると、背骨の変形が進行し背中が丸くなってしまうこともあるため、骨折初期から適切な治療が必要となります。

脊椎圧迫骨折に対する手術

当院では、患者様の状態や手術適応に応じて、以下の手術方法が選択されます。

BKP(Balloon Kyphoplasty)(経皮的椎体形成術)

背中を5㎜程度切開し、骨折した脊椎に小さなバルーン(風船)のついた手術器具を挿入します。バルーンを徐々に膨らませ、骨折した骨を可能な限りもとに戻します。その後バルーンを除去し、空いたスペースに骨セメントを充填します。手術は20~30分で終了し、出血はほとんどありません。骨折した脊椎が骨セメントにより安定することで、痛みの改善が期待できます。また手術侵襲が少ないため、翌日から歩行が可能となります。

VBS(Vertebral Balloon Stenting system)(骨粗鬆症生骨折体ステント留置術)

基本的な手術の流れはBKPと同じです。VBSではバルーンを抜いた後に、空いた空間にステントを入れ、骨をより安定した状態に戻した後、骨セメントを詰め脊椎を安定させます。BKPと比較して、ステントを使用していることにより脊椎を元の形に戻すことを安定して行うことができます。そのため骨セメントが漏れ出しにくくなります。