脳転移の放射線治療

脳転移とは

癌の発生した部位(原発巣)から癌細胞が血管を介して脳に移動(転移)し、そこで大きくなったものを脳転移といいます。

脳の中で癌が大きくなるため脳圧が上がり、頭痛や吐き気がみられたり、脳内に転移した部位に特徴的な神経症状がみられるなど、様々な病態を示します。また転移巣が脳の表面に達すると髄液を介して脳表面や脊髄に広がります。

脳転移を起こしやすいのは肺癌・乳癌・胃癌・直腸癌です。腎癌・甲状腺癌・悪性黒色腫などは稀な疾患ですが、転移の頻度が高いため脳転移がよく見られます。

治療法の特徴

全身転移の一兆候ですので抗がん剤の適応ですが、脳血管には薬物を通さないバリア(脳血管関門)があるため、多くの抗がん剤は脳内に移行しません。このため抗がん剤の効果は限定的ですので、放射線治療や手術が行われます。

単発脳転移の放射線治療の方法

単発で比較的に大きな転移の場合は手術が行われますが、切除可能な部位は限られます。放射線はほぼ全域で照射が可能です。

脳への放射線治療専用機としてガンマナイフがよく知られていて、1回の超精密な照射を行うため、定位放射線手術といわれてます。

当院にあるリニアックでもピンポイント照射が可能で、特殊な固定具を用いて高精度に照射をします。数回に分けて照射することが多いため、定位放射線治療と呼ばれています。

多発脳転移の放射線治療の方法

4個以内の転移の場合は、定位放射線照射のみで行うこともありますし、それに脳全体を照射する全脳照射を併用することもあります。

5個以上の場合は、原則全脳照射となります。照射量は30グレイ(10回)あるいは37.5グレイ(15回)が一般的ですが、定位放射線照射を併用することもあります。

全脳照射の照射範囲

齋藤勉、関口建次 他 著
ベストエビデンス放射線治療(金原出版株式会社)より抜粋

副作用(放射線治療時)

脳は頭蓋骨で囲まれているため、照射により脳がむくむと、脳圧が亢進します。このため、治療期間中は頭痛や吐き気が起こりやすくなります。

もともと転移巣により脳がむくんでいますので、原則入院で脳圧を下げる薬を併用して治療を行います。

全脳照射の場合、一時的に髪の毛が抜けてしまいますが、数か月ではえ出します。

副作用(放射線治療後)

脳転移をきたす患者さまは高齢者が多く、それまでに大量の抗がん剤を使用していますので、全脳照射を行うと、照射半年から数年後に認知症の増悪がみられることがあります。
定位放射線照射の場合は数年後に高線量の部位に脳壊死が起こることがあります。

当院での放射線治療の特長

放射線治療の流れ

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